2019年11月1日

2019年10月31日深夜、ボウディッカは完全閉店いたしました。

思えば1998年春、英国政府とアイルランド共和国政府の間で北アイルランド和平合意(ベルファスト合意)が結ばれたのとほぼ同じ頃に、ボウディッカは産声を上げたのでした。北アイルランドの緊張緩和、南北国境を跨ぐ往来の自由をおう歌しながら、アイリッシュ・クラフトやケルティックジュエリー輸入の仕事でアイルランドと関わり続けた21年間でしたが、どういうわけか、英国のEU離脱(Brexit)問題がこじれにこじれ、英愛間の関税はどうするのか、国境検問は復活するのか、さらには人々が「The Troubles」と呼んできた北アイルランド問題再燃の恐れさえ囁かれるようになったその時期に、ボウディッカはアイリッシュ・ビジネスから離れることになってしまいました。

ですが、私がボウディッカ完全閉店・廃業を意識しだした時期と、上述のBrexit問題が起こってきた時期が重なったのは偶然に過ぎません。60歳を過ぎ、複数の持病で通院が欠かせなくなると、「もし私が突然倒れたら、私一人で運営しているネット通販はどうなるのだろう?サイトを閉鎖する暇もないまま注文が入り続け、代金はクレジットカードで引き落とされたのに商品が届かないという大迷惑な事態が、いつか起きてしまうのではないか?」という不安が頭をもたげて来たのです。自分の始末を自分でつけられるうちに、ネットビジネスの世界から引き揚げよう……。これがボウディッカ完全閉店の最大の理由です。

通販ショップ Boudicca における8月から3か月間の在庫処分最終セールは、初めてご注文くださったお客様、以前からのリピートのお客様、アイルランド関係のイベントやコンサート会場でお会いしたことがあるお客様……多くのお客様に最後のお買い物を楽しんでいただき、あたたかいメッセージも寄せていただきました。「アイルランドに親しむきっかけとなった」というお話は嬉しく、「長い間ご苦労様でした」というお言葉は胸に沁みました。皆様に心より感謝申し上げます。

ボウディッカの仕事と並行して10年ほど前からライブ・フォトグラファーとして活動しているのですが、幸いなことに「撮ってほしい」というミュージシャンのお誘いが増えてきましたので、これからは本腰を入れて時間を費やそうと思います。(アイルランド生まれのロックギタリスト、ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher 1948-1995)の日本におけるトリビュートフェスティバルの企画運営なんてこともやっています。)個人的にアイルランドとの関わりを断ってしまうわけではありませんので、セント パトリックス デーやアイルランド関係、ケルト関係のイベント会場などで、また皆様とひょっこりお会いできるかもしれません。

(2019年11月1日、萬崎めぐみ)